ことばの間





通訳をしていると不思議な力を身体的に感じる瞬間がある。口から発された音が人と人の間の空気を振動させる。その音に意味を読み取るというよりも、空気のバイブレーションとして体で感じ受け、それが宇宙全体へと繋がるような感覚を得る瞬間で、大きな世界の中に自分がいることを実感できる。これが言霊なのだろうか。それは個人の感情や息づかいといった歴史の教科書には取り上げられることのない、小さいけれど根源的な生の要素だ。インプロビゼーションは、まさにこの要素に鋭い感覚で反応し双方向的な関係を作るポジティブなエネルギーを発生させる。どこか座禅にも似た心の置き方だ。


10.20.2016(平野真弓)